初恋のやり直し ~過去に私をふった彼からの猛アタック~
「綾音も蒼士のこと好きなんだろうなーってのはわかってたし、くっつくのを楽しみに待ってたのに。それなのに、蓋開けたら今って遅すぎでしょ」

 二人してゲラゲラと兄に笑われてしまい、椅子の上で身を小さくする。
 そうして兄はひとしきり笑ったあと、私と蒼士くんの名前を呼んだ。

「でも俺は、お前らが無事におさまるところにおさまってよかったって思ってるよ。大好きな二人が一緒になってくれて嬉しいもん」
「お兄ちゃん……」

 そんなふうに思ってくれていると知って、胸の奥がじんわりと温かくなる。兄はよかったな、と私に笑いかけると、今度は蒼士くんの方に視線を向けた。

「これから、綾音のこと、よろしくな」
「もちろん。大事にするつもりだよ」
「当たり前だ。大事にしてくれなきゃ困る。だけど、あんまり妹扱いもすんなよ?」

 そう言ってお兄ちゃんが頬杖をついて、にやりと笑う。
 どういう意味かわからず蒼士くんと二人で顔を見合わせていると、兄が呆れたように溜め息をついた。

「付き合ってるわりにはまだ距離感あるだろ。どうせ、綾音のこと大事にしたい~って思ってんだろうけど、妹じゃねぇんだからな。ちゃんと恋人として大事にしろよ」

 兄の言っている意味をようやく理解した私たちは、じわっと頬を熱くする。
 蒼士くんはぐしゃりと前髪を手で潰しながら溜め息をつくと、わかってる、と呟いた。

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