初恋のやり直し ~過去に私をふった彼からの猛アタック~
 私が以前勤めていた会社は、いまよりも小規模な広告会社だった。
 業界内ではそれなりに名の知れた会社ではあったけれど、少数精鋭の中堅企業で、社内で抱えているデザイナーの数が少なく、企画時にイメージを起こす際は外の業者に頼むことが多い。
 リサーチも自分の手で行うか、外に依頼することが多く、なかなか思うような仕上がりにならないことが多かった。

 その点、白桃社は規模が大きいため、社内にはリサーチャーやデザイナーを多く抱えている。社内ですべて企画を行う分、短納期かつ高クオリティな企画書を作ることが可能なのだ。
 そういった点も含めて、私はずっと白桃社に入りたいと思っていた。

 そうして三年間の下積みを経て、めでたく転職できたというのに、まさか彼がここで働いているとは夢にも思っていなかった。
 こんな嫌な偶然もあるのかと、頭が痛くなってくる……。

「外注も悪くはないけどな。社内だと似たようなデザインになることも多いし」
「でも、ここのデザイナーはクオリティ高いですよね。それに企画そのものも面白いですし」

 つい前のめりになって彼がまとめたという企画書を眺める。
 どの企画も名だたる企業からの案件で、自分も同じような企画に携われることが今から楽しみだった。

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