初恋のやり直し ~過去に私をふった彼からの猛アタック~
「綾音も前の職場でいろんな企画に携わってたって聞いたけど?」
綾音と名前を呼ばれて、ぴくりと肩を揺らす。
先ほどから、蒼士くんは私のことを昔と同じように下の名前で呼ぶ。彼にとっては妹のままなのかもしれないけれど、もう立派な大人だ。それに、ここは職場でもある。いくら兄の友人で、昔から交友があるとはいえ、変な噂を立てられても双方にとってメリットがない。
私はテーブルの下で両手を握ると、真っすぐ彼を見た。
「あの」
「うん?」
彼が覗き込むように首を傾げる。私の話を聞こうとするときの、彼の癖だ。
小学生の頃は背が小さかったから、よく彼が目線を合わせてくれたのだ。その癖がいまも抜けきっていないのか、彼が下から覗き込むように私の顔を見つめる。
懐かしさと、あのときの苦しみが同時によみがえって、胸の奥が痛くなった。
「その、綾音、って呼び方、やめてもらえませんか? 職場ですし……」
「あぁ! ごめん、気付かなかった。そうだよな、これからは藤木さんって呼ぶよ」
「そうしていただけると助かります……」
自ら彼との間に見えない壁を作り、内側に踏み込んでこないようシャットアウトする。
それ以降、僅かに緩んでいた空気がピリッと引き締まり、なんとも言えない気まずい空気の中、予定されていた時間を少し残して、オリエンテーションを終えた。
綾音と名前を呼ばれて、ぴくりと肩を揺らす。
先ほどから、蒼士くんは私のことを昔と同じように下の名前で呼ぶ。彼にとっては妹のままなのかもしれないけれど、もう立派な大人だ。それに、ここは職場でもある。いくら兄の友人で、昔から交友があるとはいえ、変な噂を立てられても双方にとってメリットがない。
私はテーブルの下で両手を握ると、真っすぐ彼を見た。
「あの」
「うん?」
彼が覗き込むように首を傾げる。私の話を聞こうとするときの、彼の癖だ。
小学生の頃は背が小さかったから、よく彼が目線を合わせてくれたのだ。その癖がいまも抜けきっていないのか、彼が下から覗き込むように私の顔を見つめる。
懐かしさと、あのときの苦しみが同時によみがえって、胸の奥が痛くなった。
「その、綾音、って呼び方、やめてもらえませんか? 職場ですし……」
「あぁ! ごめん、気付かなかった。そうだよな、これからは藤木さんって呼ぶよ」
「そうしていただけると助かります……」
自ら彼との間に見えない壁を作り、内側に踏み込んでこないようシャットアウトする。
それ以降、僅かに緩んでいた空気がピリッと引き締まり、なんとも言えない気まずい空気の中、予定されていた時間を少し残して、オリエンテーションを終えた。