敵国の王に囚われた皇女は、愛に溺れる
鎧の冷たさと、彼自身の熱が同時に伝わってくる。

「前線で君の姿を見た時……心臓が止まるかと思った。」

「大げさだ。」

強がりを返すと、彼はさらに強く抱き締めた。

「そうじゃない!」

感情が溢れた声が夜気を震わせる。

「俺は……俺は君を死なせたくない。だから大人しくしていてくれ!」

彼の胸に顔が押し当てられ、鎧の金属の匂いと、微かに香る彼自身の匂いが私を包む。

その温もりに一瞬、抗う気持ちが揺らぎかけた。

だが同時に――私の中では、誰にも譲れない決意が燃えていた。

そして私たちは、無言のままテントに戻った。

薄暗い天幕の中には、私用の簡素なベッドが一つ。

外からは焚き火のはぜる音と、遠くの警戒兵の足音が微かに響いてくる。

「エドリック。」

出入り口に向かおうとする彼の背に声を掛けた。

「……一緒に寝てくれないか。」
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