敵国の王に囚われた皇女は、愛に溺れる
「今日はたまたま上手くいったが、最前線に立つなんて無謀だ!」

「……女だからか。」

背を向けたまま、低く吐き捨てる。

「それもありますが――」

エドリックは言葉を区切り、さらにきっぱりと言い放った。

「あなたには、まだ兵を率いる力はない!」

その一言が、胸の奥を鋭く突き刺す。

甲冑越しでも感じるほどの悔しさが、肩に重くのしかかる。

私は唇を噛みしめ、焚き火の光を背に、彼の視線から逃れるように歩き去った。

テントを出ると、夜の冷気が頬を刺した。

背後から足音が近づき、「アレクサンドラ」と名を呼ばれ、思わず肩が跳ねる。

振り返れば、焚き火の明かりに照らされたエドリックの顔があった。

「分かってくれ。俺は君を失いたくない。」

その声は、戦場の指揮官ではなく、私の婚約者としての声だった。

エドリックは一歩近づき、迷いなく私を抱き寄せた。
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