初夜に暗殺された王女は魔獣の国で再起する~魔獣の国の王の求愛がとまりません
「ああそうだ」

先王、つまりデュランダルの兄が殺されたあと、この城にはロレッタ殿下がほかの家臣たちとともにひとり残されていたと聞いている。そのとき王妃も一緒に死んだのではなかったか? いや、そういえばデュランダルは父は死んだとロレッタに伝えたといったけれど母は死んだとは言っていないような気がする。
つまり母は生きていたということ?
しかも潜んでいたという言い方からいくと…

「先の王妃殿下は城からダンテ領へ逃亡されたのですか?」

「そうだ。俺が兄の遺体を回収して城に戻ったときには城にはいなかった。それしかわからなかった。もしかしたら死んだのかもしれないし行方をくらませただけかもしれない。何もわからなかったんだ。ただ、ロレッタだけを残して消えていた」

大きくため息をつく。

「ロレッタが生きていることがナダルにばれていたのは先の王妃、つまりデボラ妃のせいだった。デボラ妃がすべて筒抜けに伝えていた。つまりキルギアの裏切り者ということになる」

先の王妃、デボラ妃はシリア王国の王女だったはず。今はシリアはキルギアの領土になっておりシリア領と呼ばれているが……

「シリア領も裏切りを?」

「いや、無関係だろう。デボラ妃も兄が死んだ際に死んだと世間では思われている。シリア領の侯爵、つまり先のシリア王も嘆き悲しんでいた。シリアとは無関係にダンテ子爵の情婦として潜んでいたらしい」

「まぁ!」

あまりのことに開いた口がふさがらない。
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