初夜に暗殺された王女は魔獣の国で再起する~魔獣の国の王の求愛がとまりません


夏が近いといえど、部屋の中は涼しすぎて寒いくらいだ。
あたたかい紅茶は身に染みると思いながら、ファルコン家の客間で前に座る男と対峙した。

「ダニエル・リーグ卿、紅茶を」

自分が出したものではないが、自分が認めなければこの男は紅茶を飲むことができない。
手を差し出すと、「いただきます」とダニエルは紅茶を飲んだ。
所作も美しい。
貴族のよく教育された令息だ。

「では聞かせてもらおう。シェリアと卿の間に何があったのか? どうして殺したのかをな」

そういうと、ダニエルははっとしたように目を大きくし、紅茶を置くと、話し始めた。

「まず、わたしはもうオルベリアの貴族ではありませんので卿ではありません。ただのダニエル・リーグです。なのでダニエルとお呼びください」

「では、ダニエル。聞かせてもらおう」

「はい。わたしは今でもシェリア王女を愛しています。彼女を殺そうとしたことはありません」

まっすぐにデュランダルを見て言った。
真摯な瞳は嘘ではなさそうだ。
だが、自分の人の機微な感情に対する推測はあまりあてにならない。
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