初夜に暗殺された王女は魔獣の国で再起する~魔獣の国の王の求愛がとまりません
『またお前か。その足枷がわれの邪魔をする。気味悪くて近づけない』

ロレッタが横で大きな声で魔王の通訳をしてくれている。
デュランダルにも聞こえるように。

足枷?
もしかしてこのアンクレットのこと?

ドラゴンはシェリアたちの元から去るとまた燃える王宮の上を飛び回る。

『お前たちこそがわれなのだ。お前たちがわれを作ったのだ。それをなぜつぶそうとする?』

「そうだな。俺にはわかったことがあるんだ」

『人間がわかったことなどたかが知れている。結局憎みあっていがみ合って殺し合いをするだけの種族ではないか? われのような負の塊を生み出す邪悪な魂ではないか?』

「いや、そうではない。俺たち人間は負の感情を持って生きている。だけど喜びの感情も持っている。人はなぜこんなにもうれしいとき幸せを感じるのか? それは負の感情があるからなのだ。俺は、シェリアと出会ってそれを知った。シェリアが教えてくれた。シェリアの昔の生活に、婚約者に嫉妬して、そして知った。シェリアと今喜びをわかちあえるのはそのおかげだと。だから負の感情を増大させて人間を負だけの世界にいざなおうとしているお前を許すことはできない。人間には喜びがあるべきなのだ。負だけでは生きていけない。だからお前は亡ぶべきなのだ」

それを聞いてホワイトサーベルはにやりと笑った。
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