初夜に暗殺された王女は魔獣の国で再起する~魔獣の国の王の求愛がとまりません
「ユーリーン王にこの薬を飲ませろ」

「え?」

デュランダルも交渉の術は心得ているわとシェリアは思った。

「幻覚を呼び起こす薬だ。飲み続ければ一年ほどで気がくるって死んでしまう。薬で死んだとは誰も思わない。自分のやったことに狂ったと人々は思うだろう。魔術で生成しているから毒見係には症状は現れない。ユーリーンのみだ。潜入させるくらいの部下はいるだろう?」

「あ、ああ」

「やつはキルギアを狙っている。俺は自分の国を失うわけにはいかない。だからお前を王にしたい。お前ならうちを手に入れようとはしないだろうからな。魔獣と戦うということがどういうことかお前は知っている」

ニジェールはびくっとおびえたように肩を震わせた。
ナダルがキルギアの先王を殺した後、キルギアに攻め入ってきたのはこの男の部隊だったのだ。
先ナダル王はこの男を王太子にしていたが、息子はほかにも何人もいたため、別にこの男でなくてもよかった。
キルギアで死んだらそれまで。ほかの息子に後継を譲るまでなのだ。

だからニジェールが派遣されたが、魔獣たちは彼らを敵とみなし、束となり一瞬で彼らを滅ぼした。キルギア軍が何をするまでもなかった。
魔獣とはそういうものだ。自分たちの聖地である針葉樹林を脅かす者を許しはしないのだ。

そんな魔獣から命からがら逃げ帰ったニジェールなら再びキルギアを手に入れたいとは考えまい。

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