仏の顔も三度までですわ！愛人と夫のツケ、すべて返していただきます

「…そうね…。ソフィの話から、シェリーナの狂気に近いランドリックへの執着を感じたわ…。
私から何か言ったくらいでは改めないでしょうし、ソフィの言う通り火に油かもしれないわね…」

私の言葉を聞いて、ホッとした表情を浮かべるソフィ。
彼女は私よりもずっとシェリーナの異常性を感じていたのだろう。

「ソフィ、教えてくれてありがとう。もしかして、口止めされてた？」

ソフィは辛そうな表情で頷いた。

「アリステラ様に申し上げるべきと存じておりましたが…事情が洩れているとシェリーナ様がお察しになれば、関係者の方々が不利な状況に立たされると案じ、思いとどまってしまいました。
大変申し訳ございませんでした…」

「ソフィはなにも悪くない。
悪いのは、こんな状況から子どもを救えない私だよ。
でも…どうすればいいんだろう…」

シェリーナの好きなようにさせているデルバートを私が説得するのは絶対無理。
またキサラを頼る…？お願いすればきっと協力を惜しまないと思う。
だけど、ランドリックに対するシェリーナの執着は話を聞く限り狂気的だ。
シェリーナの行動を改めさせるのではなく、ランドリックに接触させない方法を考えるべきだろう。
だとしたら、キサラの協力だけでは足りないかもしれない。

「この事態を解決できるのは、もうガウディーン様しかいないのかもしれない…」

思考が言葉に漏れた。
ソフィはハッとした顔をしてから、大きく頷いた。
そうよね…。ここまで来てしまったのだから、ガウディーンに動いてもらうしかない。
デルバートも父親には逆らえないのだから。

でも…今の私の発言力では、ガウディーンを動かせないだろう…。
ガウディーンは完全な仕事人間。超シゴデキで、国王様からの信頼が厚い。
決して冷血な人間ではないが、評価に関してはとても厳しい。
公爵夫人としての私の働きは認めてくれているけれど、所詮は屋敷内での仕事。
デルバートが問題視していないシェリーナの行動について私が意見しても、聞き入れてくれない可能性が高い。
ならば、別の方法で認めさせるしかない。
でも、どうすれば…どうすればいい…？