星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
「シーグラスは、『奇跡の石』や『運命の石』って呼ばれているみたい。石言葉はね、奇跡、出会い、絆、生命力なんだよ。一番、レアな色である、オレンジ色のシーグラスは、特に『幸運』や『希望』を象徴するんだって」

文字を指でなぞっていたその時、頭の中にぱっと閃光が走った。
突然、ひらめいた考えに指が震える。
心から、胸が打ち震えた。
もしかしたら、サイカくんを救う方法を見つけられたかもしれないから。

「シーグラスには、奇跡を引き寄せる力がある」

そう言って立ち上がり、周防くんの方に体を向ける。
その瞬間、鼓動がさらに激しくなるのが分かった。

「貴重なオレンジ色のシーグラスには、『星が本当の意味で、人間に生まれ変われる奇跡』を起こせるかもしれない」
「オレンジ色のシーグラスか」

わたしの言いたいことが分かったのだろう。
多くを語るまでもなく、周防くんの笑みはとめどなくこぼれた。

オレンジ色のシーグラスが見つかれば、サイカくんを救えるかもしれない――。

もしかしたら、重大なイベントのフラグを立ててしまったかもしれない。
星が本当の意味で、人間に生まれ変われる方法を見つけてしまったから。
この世にはまだまだ、わたしたちの知らない、たくさんの神秘が眠っている。
時間は可能性に満ちていて、それはわたしたちが生きている限り、存在する。
教えてくれたのは、周防くんとサイカくんだ。
これから描かれる未来がどんなものでも――三人で歩く未来は、必ずこの手でつかみ取りたいと思ったんだ。
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