星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
「……そんなの嫌だよ! だって、わたし、サイカくんのことが大好きなの……!」

自分の気持ちに、やっと『名前』がついた。
これが、わたしのサイカくんへの想いなんだ。
わたしは星に恋をしてしまった。
だから、怖くてたまらない。
サイカくんのいない未来が来るのがすごく怖いんだ。
今にも世界がひっくり返って、暗闇の中に落ちていきそう。
恐ろしいほどの不安にのみこまれそうになったその時――。

パキッ。

バランスを崩したことがきっかけで、持っていた人魚の涙がひび割れた。
その瞬間、言い知れない絶望に包まれる。

これが答えなのかな……。
星と人間。
決して結ばれない運命だと……。

思い出すのは、あの日の公園。
息が切れるほど、あなたを思って、ブランコをこいだ――あの秋の空。
あの後、前向きな気持ちになれたのは、サイカくんに出会えたおかげだ。
サイカくんにもらったもの、たくさんある。

それなのに……。
このまま、お別れなんて……。

考えれば考えるほど、嫌な予感がして胸が苦しい。
不安と恐怖で押しつぶされそうになった時……。

「シフトチェンジ……!」

どくんっ。
驚きとともに、跳ねた心臓。
周防くんの声が聞こえたと同時に、ひび割れたはずの人魚の涙が元どおりになる。
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