星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
……嫌だ。
そんなの、嫌だよ。
気づけば……まるで吸い込まれるように。
手を伸ばせば、サイカくんに届く距離まで近づいていた。
間近で見るサイカくんの寝顔は、想像以上にきれいで。
だけど、どこか冷たさを感じる。
死を予感させる冷たさが……。

「お願い……! サイカくん、消えないで……!」

わたしはしがみつくように、サイカくんに抱きつく。
彼に触れると、どんどん愛おしい気持ちがあふれてくる。
今までサイカくんと過ごした日々が、頭の中を一気に駆けめぐった。
永遠に続かないはずの今が終われば、手に入るかもしれない未来がある。
その代わりに手放すことになる当たり前も、確かにあって――。

「……うっ……うううぅぅ……。サイカくん……死んだら、嫌だよ……」

わたしは想いをこらえきれなくなる。
あふれる感情のままに、涙がぽろぽろとこぼれた。

「もしかしたら、このまま……何の反応も示さなかったら……一緒にいられなくなっちゃうのかな……」

わたしはぎゅっとくちびるを噛みしめる。
だけど、どうしても涙があふれて止まらない。

「うぅ……」

いろんな感情がちぐはぐで……。
うまく言葉にならない。
でも……。
確かなことが一つ。
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