星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
「あの日、公園で泣いている女の子を見た時、守ってあげたいと思ったんだ。悲しみを(ぬぐ)ってあげたかった。だけど、救われているのは、いつも僕の方だった」

あの公園の出来事が、わたしの心によみがえてくる。
サイカくんに出会って、わたしの世界は大きく変わったんだ。

「星が、人間に生まれ変わってもいいと思う。君がそう言ってくれたあの時から、ずっと日和さんが好きなんだ。まっすぐに向き合ってくれる君を見て、自分の気持ちを自覚した」

その言葉に、泣きそうにゆがんだ彼の顔を思い出す。
宇宙空港で再会したあの日。
「ありがとう」と優しく微笑んだサイカくんは、どこか悲しそうだった。
星と人間。
彼は絶対に叶うはずのない恋心に気づき、やり場のない想いを胸中に抱えていたのかもしれない。
そう思っていると。
指先が近づいてきて、わたしの頬をなでる。

「だからこそ、今こうして君に触れられる奇跡が、本当に尊いことだと思っている」

涙をにじませるわたしの顔を隠すように、サイカくんはわたしを引き寄せる。
もう二人が別たれることのないように。
再び、強くつながれるように。
これからずっと、一緒にいられるように。
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