星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
何だか、不思議な感じがする……。

少し前までは、予想もできなかった。
あの時の自分はまだ、『答え』を持っていなくて。
友達のままでも、きっと……幸せだと思っていた。
恋を選ぶだけの、勇気も覚悟も足りなかった。

「ねえ、サイカくん。これがわたしの恋だよ」

だからこそ、わたしはせいいっぱいの気持ちを告げる。
とっておきの告白を、あなたに伝えたくて。

「……好き。『サイカ星』じゃない。同じ人間のサイカくんのことが大好き……」
「僕も、日和さんが大好きだよ」

わたしたちはそっと重なるように、優しいキスをした。
二人の未来はこれからも続いていくと、甘く確かな約束を求めて。
思い出すのは一筋(ひとすじ)の光が差し込んだ、あの日の出来事だ。

『……夢を持つことは、奇跡みたいなことを追いかけるようなものかもしれないね』
『そうなの! 奇跡みたいなことだよね! ほんとに……すごいよね。奇跡みたいことなんだよ。夢を持つって』

わたしとサイカくんが初めて出会った、あの日。
運命の恋が始まった、あの日を……。

『だって、元気の(みなもと)になるもん!』
『……だったら、僕がいつか、君の元気をつくってあげるよ』
『じっ……じゃあ、わたしは君の夢を一番にかなえにいく!』

サイカくんと指切りをした瞬間、わたしの中で何かが決定的に変わった。

小さな約束……。

多分、それが始まり。
この時、サイカくんに会わなかったら、彼が抱えているものなんて、一生、分からなかったかもしれない。

つながる心が震える。

こんな気持ちを、わたしは知らないままだったかもしれない。
そう思うと……少し怖いんだ。
心に咲く花は色とりどりで。
咲き方が多岐(たき)にわたるように、想いの伝え方も無限大のはずだ。
まだ、つぼみの花は、いつの季節で花開くかはわからない。
だけど、確かに、わたしたちの手にはその想いが渡ったんだ。

「サイカ……」
「……っ」

周防くんの声で、わたしたちはぱっと焦ったように離れる。
どくんと心臓が高鳴った。
顔が熱い。
……顔の温度が、急激に上がっていくのを感じた。
きっと今、わたしの頬は真っ赤にそまっていることだろう。
そんなわたしに、さらなる追い打ちがかかる。

「俺は、おまえに負けないくらい、眞中さんのことが好きだ! 眞中さんの幸せを、この世界で一番、願っているのは俺の方だからな!」

断言するように、周防くんは少しふてくされた様子で宣言したんだ。
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