星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
フロアを突き進んで、エスカレーターで二階に上がると……。

「あっ、本当にあった! スイーツショップ!」

そこには、かわいらしいスイーツショップがあった。
秋らしい花を飾った、どことなく温かそうな空間。
そこに、わたしはふらりと誘われるように足を運んだ。
その目に映ったのは色とりどりのスイーツ。

「はぁ……、どれもおいしそう……」

ショーケースには様々なスイーツが並べられていて、見ているだけでも胸が弾む。
なんと、スイーツ界の金字塔(きんじとう)である、伝説のショートケーキもある。

「でも、ダメダメ!! 家出中のわたしには、そんな余裕などない!! しかし、甘い誘惑には勝てないし……」

わたしはこっそり、サイフの中身を見て……ガッカリ。
わーん!!
これじゃ、足りないよ……。

「あーあー。現実は甘くない。タダでスイーツを食べられたら、どんなにいいかなぁ。攻略本には、何か書いてないかなぁ」

宇宙空港について調べてみると、意外なことが書かれていた。

『スイーツの入手方法。スイーツショップのショーケースの前で、じっと待ってみよう。幸せがいっぱい舞い込むよ』

わたしはその一文をまじまじと見つめる。

「幸せがいっぱい舞い込む。ほんとにいっぱい来るといいなー」

ぶつぶつと歌うように口ずさんでいると、とんとん、と背中を叩かれた。
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