星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
「……あっ、あった! 宇宙空港!」

攻略本どおりに歩いていくと、目的の宇宙空港があった。
空港って確か、空の玄関口。
いろいろな国の人たちが集まる場所。
テレビでしか、見たことがない。
普段は目にすることがないところだから、ドキドキわくわくした。

「すごーい、大発見!!」

不安はもう吹っ飛んでいた。
だって、未知との遭遇に、わたしの心臓が不思議な心地に跳ねたから。

(空港の中って、どうなっているのかな? テレビと同じなのかな?)

わたしはそこら中をきょろきょろと見回す。
もはや、知らない場所に来た心細さよりも、空港に入りたいという好奇心の方が強かった。

「いざ、出陣!」

善は急げだ。
中に入るだけでも緊張が走る。
おそるおそる空港の中に入ると、視界いっぱいに大きなフロアが広がった。
まるで、大きな駅の中にいるみたい。
周りはトランクを持った大人の人が多い。

「すごい。攻略本には、宇宙空港の情報が細かく書いてある」

ドキドキハラハラ。
何だか、ゲームを攻略しているような感じがして。
わたしは胸を高鳴らせながら歩いていく。

「なになに……。フロアを突き進んで、エスカレーターで二階に上がると、おいしいスイーツショップがある。うわぁ、楽しみ!」

知らない場所。
秋の空気。
空港のにおい。
何だか、不思議な気持ち。
ふわふわと上下する心は、今どこにいるだろう。
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