星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
チラシによると、星おこしとは、星を盛り上げて、星の活気を取り戻すお仕事なのだという。
星おこしをするために、必要なものの費用はすべてタダ。
つまり、全国各地――ううん、もしかしたら世界中のスイーツが食べ放題になるかもしれない。
食べたいだけスイーツを食べられる……実においしい仕事である。

「はいはいーー!! そのお仕事、してみたいですーー!!」

わたしは最善手を求めて、ビシッと手をあげる。

「じゃあ、ついてきて」

男の子はくいっとわたしの腕を引っ張った。
とてとてと歩いていく男の子に案内されたのは、総合案内所だった。

「ママー!」
「あら? 千彰(ちあき)、どうしたの?」

総合案内所にいたきれいな女の人が、男の子を見て、不思議そうに首をかしげた。

「あんね。おねーちゃんが、ほしおこしをしてみたいって!」
「星おこしを?」

女の人の目が、わたしに向けられる。

「初めまして、眞中日和です。星おこしをしてみたいです!」

わたしは勇気をふりしぼって言った。

「そうなのね。私は周防(すおう)真由(まゆ)。千彰の母です。宇宙空港の管理や運営をしている会社の社長の妻になります」

千彰くんのお母さんがぺこりと頭を下げる。

「ええっ!? 社長……!」

それって、千彰くんのお父さんは、この空港で一番えらい人なんじゃ……。
わたしが動揺していると、千彰くんのお母さんは切り出した。
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