星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
(どうしようかな……)

行くあてが思いつかなくて、わたしはひたすら、頭を悩ませた。
答えは出ない。
でも、風はいつも突然に吹き抜ける。
いろんな考えをぐるぐるとめぐらせながら、角を曲がった時……。
ゴンッ。
何かとぶつかり、空からふわりと甘い香りがただよった。

「いたぁ……。って、木にぶつかっちゃった」

わたしはヒリヒリと痛むおでこを押さえる。
そして、目の前の木を避けて、先に進もうとしたけれど――。

「危ない!」
「……えっ?」

わたしは間抜けな声を出してしまった。
突然、後ろから、誰かがわたしの腕をつかんできたからだ。
そのせいで、身体がぐいっと後ろに引っぱられてしまう。

「何する――」

ぺたりと座り込んだわたしは抗議の声を上げようとした。
だけど、視界に映ったのは恐ろしい光景だった。
わたしがこれから進もうとしていた道には、まるで隕石でも落ちたような、深く大きな穴があったから。

「おい、大丈夫か? いきなりでごめんな」

言葉を失うわたしに、男の子は息を切らしながら手を差し出してくれる。
その温かな手をつかむと、わたしはその場から立ち上がった。

(もしかして、助けてくれたの?)

わたしは引き寄せられるように男の子を見つめる。
柔らかそうな黒い髪。
澄んだきれいな瞳。
しかも、びっくりするくらい整った顔立ち。
まさに非の打ちどころがない。
きらきらと輝く男の子を見ていると……まるで時間が止まったような、不思議な感覚に落ちてしまいそうになった。
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