星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち

第一章 大きな木に追いかけられました

誰にだって、虫の居どころが悪い日はある。
もう、秋なのに。
雲ひとつない真夏のような空の下は、ただでさえ、ゆううつな気分に拍車(はくしゃ)をかけた。
わたしは眞中(まなか)日和(ひより)
スイーツが大好きな中学一年生。
でも、家はビンボーだから、スイーツはあまり食べられない。
だから、将来の夢は毎日、おいしいスイーツを食べること。
絶品スイーツを毎日、堪能したい。
その夢を叶えるために必死に頑張ってきたんだけど……今は現在進行形で家出真っ最中。

「ふーんだ。しばらく、家には帰らないんだから……!」

その理由は、お母さんとケンカしたからだ。
きっかけはお誕生日に、イチゴ盛りのデコレーションケーキをねだったことだった。
確かに高かった……。
でも、今日だけの限定生産のケーキだったから、どうしても食べたかったんだ。
だけど、分からず屋のお母さんは、わたしの意見なんか、聞く耳ゼロ。
そんなものを買うお金はないって言ってきたんだ。
もうー、ひどすぎる!
怒りがピークに達したわたしは脇目も振らず、家を飛び出してきたんだ。

「家出する準備はバッチリしてきたもんね」

わたしは無意識のうちに、リュックサックをぎゅっと握りしめる。
リュックサックの中には、いろいろなものを詰め込んできた。
まさに準備万端。
でも、どこに家出するのか悩み中。
うーん。
友達の家はすぐにバレそうだし、すごく困った。
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