星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
「あっ……ま、待って!」

少しためらいつつも、わたしもその空間に駆け込む。
その空間の中は、長いトンネルのような道が続いていた。
もっと真っ暗な場所かと思っていたけれど、意外と明るい。

「はあはあ……。もう、追ってきていないよね?」

わたしは追っ手確認のために振り返る。
後ろを見ても、誰もいない。
どうやら、ガヴィット星人さんは、ここまで追いかけてきていないみたいだ。

「なんとか、逃げ切れたみたいだな」

男の子は安堵の表情を浮かべてつぶやいた。
ようやく悪夢のような逃走劇が終わり、日常が戻ってくる。

「あの……、助けてくれてありがとう」

改めて、窮地から救ってくれた男の子に、わたしは心から感謝した。

「うー。それにしても、今日は誕生日なのに、最悪の日だよ……」

わたしは泣きそうな声で頬をふくらませる。
誕生日プレゼントのことで、お母さんとケンカして。
しかも、家出した最中に、今度はガヴィット星人さんに追いかけ回されるなんて、地味にへこむ。

「そう思い込んでいるだけかもしれないじゃん。少なくとも、俺はおまえと出会えて嬉しかったな」
「……えっ?」

まぶしい笑顔。
わたしにはこの瞬間、目の前の男の子が別の惑星からきた宇宙人か、何かに見えたんだ。
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