星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
「ねえ、あれって何なの?」
「あれは『ガヴィット星人』。消滅しかけているガヴィット星が、巨大な木の宇宙人の姿になっている。いわゆる、星の化身だな。怒りっぽいから気をつけろよ」

わたしの戸惑いに、男の子が忠告するように答える。

(星の化身? 何で、星が宇宙人の姿になって、こんなところにいるの? それにどうして、わたしたちを追いかけてくるの?)

そこで、わたしははっとした。

(もしかしてさっき、わたしがぶつかったから、ガヴィット星人さんは怒っているんじゃ……?)

それを証明するように、ガヴィット星人さんはわたしめがけて襲いかかってくる。

「うわあっ! ぶつかってごめんなさい!」

襲われる原因に思い至ったわたしは謝罪の言葉をはき出した。
だけど、ガヴィット星人さんは問答無用で襲いかかってくる。

やばい、やばい、ひじょーにやばい!
ガヴィット星人さん、全く、話が通じないよーー!!

まるで壁が押し寄せてくるような圧迫感に、わたしたちは必死に逃げ出したんだ。
それでもガヴィット星人さんは、一気に距離をつめてくる。

「どうしよう! 追いつかれるよ!」
「あっ! そうだ!」

わたしの切羽つまった声に、男の子はさっそうとペンを取り出す。
そしてくるりと回すと、目の前に真っ暗な空間が現れた。

「よし、このまま、飛び込むぞ!」
「ええっ!? 飛び込むって……」

わたしが戸惑っている間に、男の子はそのまま、真っ暗な空間に飛び込んでしまう。
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