恋愛はカットがかかったその後で
久々の2人飲み
私たちは同じマンションの隣同士に住んでいる。実は約束をしていたわけではなかったのだが、引っ越した先がたまたま同じだったのだ。事務所から近く、セキュリティも万全。交通の便もいいし、家賃も妥協の範囲内。
隣同士だと知ったのは、朝のゴミ出しの時だった。あろうことか、ゴミ捨て場前で鉢合わせたのだ。その時の衝撃は今でもよく覚えている。
「一旦、自分の部屋に荷物置いてくるね」
「おう」
荷物を玄関に置き、できる限りの軽装に着替える。スマホと家の鍵だけ持って、自分の家を出た。
「開けて~」
「開いてる~」
「閉めなさいよ」
「いや、美穂がすぐに入ってくるからいいかなって」
湊は、すでに部屋着に着替えていた。ネイビーのシンプルなTシャツにスウェットというラフな姿だが、その佇まいはやはり様になっていた。元々容姿は整っていると思っていたが、役者を始めてからより拍車がかかったように感じる。
「相変わらず綺麗な部屋だね」
「物が少ないっていうのもあるけどな」
湊は言葉に笑いながら、食器を準備してくれていた。テーブルの上には、先ほ買ったおつまみと、お惣菜が並べられている。
「最初は何飲む?」
「ビールにしようかな」
「んじゃ俺も」
缶ビールをぷしゅっと勢いよく開け、そのまま小さく缶を鳴らす。
「「乾杯」」
勢いよく缶を傾け、一気に煽る。
「んー、染みる~!」
「CMみたいだな」
「今ならいい案件取れる自信がある」
ケラケラ笑いながらも、湊だって負けていない。休まることなく上下する喉仏がその美味しさを物語っている。