最強スパダリ吸血鬼が私を運命の人だと言って離してくれない！

たどたどしくもなんとか言葉を紡ぐ。


「ひかりに迷惑をかけたくなかった。人間に戻ればひかりは俺に血を飲んでほしいと言ってくれるだろう？だからって泣かせたかったわけじゃないんだけどね」


「そうだったんだ……」


私はてっきり嫌われたんだって、私の顔なんて見たくないんだと思ってた……


「俺はね、ひかりを傷つけたくなかった。吸血鬼という本能が勝手にお前を傷つけるものだと、そう思っていた。俺の身勝手な推測で傷つけてごめん」


「ううん、私こそかげくんのこと知ろうとしなくてごめんなさい……知りたいの。吸血鬼のかげくんも黒瀬かげくんも。全部知りたい」


「……ありがとう。でもね、それだけじゃないんだ。うさぎのままでいる理由」


さっきまで真面目な顔で話していたかげくんが目尻を下げてクスッと笑う。


へ……他にも理由があるの？


そ、それに、その笑顔は反則じゃないっ？


同じベッドで向かい合っているからかちょっと恥ずかしいかも……


「うさぎのままでいる方がひかりに甘えられるから」


「あ、甘える！？」


突然何を言い出すのっ


かげくんの顔を見れずに視線を落として指先をいじるとそんな私の手に、彼がふいにくちびるを寄せた。


指先から、じんわり熱が広がっていく。


どうしていいかわからなくてあたふたしちゃう。


かげくんってばほんとにずるい。


「今も甘えていい？ ひかりを見てたら血がほしくなった」



かげくんが自分から血を欲するなんて正直驚いてしまった。


「ほんとにいいの……？ 血を飲むの嫌なんじゃ……」


「俺が嫌なのはひかりを傷つけること。なるべく痛くしないようには気をつけるけど、吸血という行為はどうしても痛みを感じてしまうだろう？ ――俺は吸血鬼だから、好きな人の血を飲みたいのは当然のことだよ。だから、ひかりが俺を求めてくれるのは嬉しい。嫌じゃなければ血を吸ってもいいか？」


私は最初から不思議とかげくんに血を吸われることに対して怖いという感情はなかった。


それは、かげくんの優しさを無意識に感じ取っていたからかもしれない。



「うん、もちろん。かげくんに吸ってほしい」