最強スパダリ吸血鬼が私を運命の人だと言って離してくれない!
すれちがい
体育祭の日から一ヶ月が経った。
かげくんが人前でうさぎになったり鼻キスを拒否したりで他のことを考える余裕がなかったが、あの後私たちの班が優勝したらしい。
ご褒美はほしいものを一つ貰えるとのことだった。
もちろん高いものは駄目でちゃんと予算がある。
霞くんは新しい柔道着。虹香ちゃんは小説。
そして私とかげくんはコウモリをモチーフにしたヘアピンをお揃いで頼んだ。
羽と羽の間にシルバーの石が埋め込まれていてキラキラしている。
一応予算ギリギリでオッケーされたもの。
まぁ、可愛すぎてつけられないんだけどね。
かけくんもつけるのは少し恥ずかしいみたい。
ヘアピンなのに意味ないんじゃないかとも思ったけど、それよりもかげくんとお揃いの物が持てて嬉しい。
「ねぇ、ひかりちゃん。出し物なににする?」
手のひらでヘアピンを撫でていると隣にいる虹香ちゃんに声をかけられた。
私たちの学校は振り返り休日がないからそのまま次の日からも授業を受けるといういつも通りの日々が続いたんだけど、流石に何か楽しみたいと生徒たちが不満の声を上げた。
その結果、少し遅いが打ち上げをすることになった。
今はその準備中。
一時間だけ授業をせずにどんな打ち上げにするかみんなで話し合うことに。
ちなみに夜は花火も上がるんだって。
ふふ、かげくんと花火見れたらいいなぁ。
「ひかりちゃん、なんだか嬉しそう?」
「え、そう見える?」
「うん、すごく。好きな人のことでも考えてた?」
す、好きな人だなんて、かげくんはそんなんじゃないよ
っ……!
否定しようとする私を虹香ちゃんはくすくすと小さく笑った。
「ひかりちゃんってわかりやすいんだね」
「えっそ、そんなことないよっかげくんのことなんて好きじゃないしっ」
「黒瀬くんのこと考えてたんだ。好きなの?」
「だから違うってばっ!」
楽しく虹香ちゃんと話しながら気づいたことがある。
それは虹香ちゃんが前よりいっぱい話してくれるようになってること。
それだけ仲良くなれた証ってことだから嬉しいな。
それにしてもこの会話、かげくんに聞かれてないよね?
視線の先にいるかげくんは霞くんと一緒に女子と楽しそうに話していた。
なんだか私といる時より楽しそう。
「ふふ、ずっと黒瀬くんのこと見てるね」
「そ、そうかなっ」
なんでさっきからかげくんのことばっかり見ちゃうんだろ。
「ねぇ虹香ちゃん、吸血鬼ってどんな存在?」
体育祭の一件から、かげくんのことをもっと知りたくなった私は、吸血鬼について虹香ちゃんに聞いてみることにした。
霞くんの気持ちも気になるけど……
今は先にかげくんのことが知りたいかも。
「吸血鬼かぁ。あまり身近にいないから知りたくなっちゃうよね。どんなことが知りたいの?」
「ええと、吸血鬼がうさぎに変身することってあるのかな?」
「 んー聞いたことはないけど、吸血鬼が運命の人に出会うと特別な力が出るって話はあるよ。運命の人自体、見つけることが難しいらしいから、本当のことかはわからないんだけどね。――もし吸血鬼が運命の人と出会えたら、本能を抑えられないくらいその人が魅力的に映るんだって! ロマンチックだよね」
本能が抑えられないくらい……か。
かげくんは無理やり私の血を吸ったことはなかった。
それは私を傷つけたくないからだってことだったけど、もしかして運命の人じゃないからなんともないだけなんじゃ……
かげくんが人前でうさぎになったり鼻キスを拒否したりで他のことを考える余裕がなかったが、あの後私たちの班が優勝したらしい。
ご褒美はほしいものを一つ貰えるとのことだった。
もちろん高いものは駄目でちゃんと予算がある。
霞くんは新しい柔道着。虹香ちゃんは小説。
そして私とかげくんはコウモリをモチーフにしたヘアピンをお揃いで頼んだ。
羽と羽の間にシルバーの石が埋め込まれていてキラキラしている。
一応予算ギリギリでオッケーされたもの。
まぁ、可愛すぎてつけられないんだけどね。
かけくんもつけるのは少し恥ずかしいみたい。
ヘアピンなのに意味ないんじゃないかとも思ったけど、それよりもかげくんとお揃いの物が持てて嬉しい。
「ねぇ、ひかりちゃん。出し物なににする?」
手のひらでヘアピンを撫でていると隣にいる虹香ちゃんに声をかけられた。
私たちの学校は振り返り休日がないからそのまま次の日からも授業を受けるといういつも通りの日々が続いたんだけど、流石に何か楽しみたいと生徒たちが不満の声を上げた。
その結果、少し遅いが打ち上げをすることになった。
今はその準備中。
一時間だけ授業をせずにどんな打ち上げにするかみんなで話し合うことに。
ちなみに夜は花火も上がるんだって。
ふふ、かげくんと花火見れたらいいなぁ。
「ひかりちゃん、なんだか嬉しそう?」
「え、そう見える?」
「うん、すごく。好きな人のことでも考えてた?」
す、好きな人だなんて、かげくんはそんなんじゃないよ
っ……!
否定しようとする私を虹香ちゃんはくすくすと小さく笑った。
「ひかりちゃんってわかりやすいんだね」
「えっそ、そんなことないよっかげくんのことなんて好きじゃないしっ」
「黒瀬くんのこと考えてたんだ。好きなの?」
「だから違うってばっ!」
楽しく虹香ちゃんと話しながら気づいたことがある。
それは虹香ちゃんが前よりいっぱい話してくれるようになってること。
それだけ仲良くなれた証ってことだから嬉しいな。
それにしてもこの会話、かげくんに聞かれてないよね?
視線の先にいるかげくんは霞くんと一緒に女子と楽しそうに話していた。
なんだか私といる時より楽しそう。
「ふふ、ずっと黒瀬くんのこと見てるね」
「そ、そうかなっ」
なんでさっきからかげくんのことばっかり見ちゃうんだろ。
「ねぇ虹香ちゃん、吸血鬼ってどんな存在?」
体育祭の一件から、かげくんのことをもっと知りたくなった私は、吸血鬼について虹香ちゃんに聞いてみることにした。
霞くんの気持ちも気になるけど……
今は先にかげくんのことが知りたいかも。
「吸血鬼かぁ。あまり身近にいないから知りたくなっちゃうよね。どんなことが知りたいの?」
「ええと、吸血鬼がうさぎに変身することってあるのかな?」
「 んー聞いたことはないけど、吸血鬼が運命の人に出会うと特別な力が出るって話はあるよ。運命の人自体、見つけることが難しいらしいから、本当のことかはわからないんだけどね。――もし吸血鬼が運命の人と出会えたら、本能を抑えられないくらいその人が魅力的に映るんだって! ロマンチックだよね」
本能が抑えられないくらい……か。
かげくんは無理やり私の血を吸ったことはなかった。
それは私を傷つけたくないからだってことだったけど、もしかして運命の人じゃないからなんともないだけなんじゃ……