背筋を伸ばして恋をする。
怪しい男にご用心
あれから1週間、毎朝、桐生くんと一緒に電車に乗っている。
桐生くんはいつも先に駅についていて、「おはよーございます」とあからさまに嬉しそうに挨拶をしてくれる。
大きく振った尻尾が見える…
桐生くんはずっとこんな調子で、この1週間の様子を見る限りただただ好青年である。
ただ、少し違和感を覚える部分がある。
「今日雨大丈夫でしたか?」と呟く彼のスーツはところどころ濡れている。
「桐生くんはいつも何時にここに来てるの?」
「あーひかるさんの来るちょっと前すよ」
尻尾がピタッと止まった気がした。
「ほんとに?」
「ほんとですよ」
なんか怪しい。