メシマズな彼女はイケメンシェフに溺愛される
歳は少し上だろうか。なめらかな黒髪にコック帽を被り、白衣に包まれた長身はすらりとしている。整った顔立ちは穏やかで、静かな自信があふれている。
才能にも外見にも恵まれるなんて。
陽音の怒りがさらに燃え盛る。
「三十分後には閉店ですが、よろしいですか?」
「はい」
陽音は暗い声で答えてコートを脱ぎ、カウンターに座る。
差し出されたメニューを見て、本日のおすすめにした。
スープにサラダ、フランス風ハンバーグにパン。デザートにはアイスクリーム。
お値段は三千五百円。最後の晩餐には安いかもしれないが、普段の食費から考えたら大散財だ。
最初にスープが出され、スープスプーンを持って覗きこむ。
ほかほかと湯気の立つコンソメスープは透明感のある黄金だった。クルトンは妙にかわいらしく、散らしたパセリの緑とスープの黄金とのコントラストが美しい。おそるおそるひとさじをすくって口に含む。温かく流れ込んだ液体はほどよい塩気で野菜のうまみが存分に出ており、冷えた体を芯から温めてくれる。カリカリだったクルトンはしだいにスープがしみ、それもまたおいしい。
サラダにかかるチーズドレッシングはまろやかで、レタスのシャキシャキと抜群に相性が良かった。
温かくやわらかなパンにバターをぬるとほわほわと溶け、パンの甘みとバターの塩気が絶妙だ。
ハンバーグにはトマトソースがかかっていて、予想より歯ごたえがあった。噛むたびに肉汁があふれ、ふんわりハンバーグにはない肉肉しい美味しさがある。つけあわせの野菜は甘みが強調されて、互いのうまみを引き立てあっていた。
気が付けば夢中で食べていた。
食べながら、嗚咽を止められなかった。
才能にも外見にも恵まれるなんて。
陽音の怒りがさらに燃え盛る。
「三十分後には閉店ですが、よろしいですか?」
「はい」
陽音は暗い声で答えてコートを脱ぎ、カウンターに座る。
差し出されたメニューを見て、本日のおすすめにした。
スープにサラダ、フランス風ハンバーグにパン。デザートにはアイスクリーム。
お値段は三千五百円。最後の晩餐には安いかもしれないが、普段の食費から考えたら大散財だ。
最初にスープが出され、スープスプーンを持って覗きこむ。
ほかほかと湯気の立つコンソメスープは透明感のある黄金だった。クルトンは妙にかわいらしく、散らしたパセリの緑とスープの黄金とのコントラストが美しい。おそるおそるひとさじをすくって口に含む。温かく流れ込んだ液体はほどよい塩気で野菜のうまみが存分に出ており、冷えた体を芯から温めてくれる。カリカリだったクルトンはしだいにスープがしみ、それもまたおいしい。
サラダにかかるチーズドレッシングはまろやかで、レタスのシャキシャキと抜群に相性が良かった。
温かくやわらかなパンにバターをぬるとほわほわと溶け、パンの甘みとバターの塩気が絶妙だ。
ハンバーグにはトマトソースがかかっていて、予想より歯ごたえがあった。噛むたびに肉汁があふれ、ふんわりハンバーグにはない肉肉しい美味しさがある。つけあわせの野菜は甘みが強調されて、互いのうまみを引き立てあっていた。
気が付けば夢中で食べていた。
食べながら、嗚咽を止められなかった。