メシマズな彼女はイケメンシェフに溺愛される
「ごめん、私のせい……」
 陽音は乃蒼を見上げる。
「この前のあの人、グルメーズで働いてるから……」
「嫌がらせじゃない、抗議してやる!」
 スマホを返された絢子が怒って目を吊り上げる。

「でも証拠がないので……」
「だけど私の口コミが消されたの! 星を五にして、すっごくおいしいっていろいろ書いたのに!」
「俺のも消されてる。悪口が残って誉め言葉が消されるって不自然だよ」
 自分のスマホで確認した修造が顔をしかめている。

「クレーム入れたけど書き込みが復活しないの。ほんと腹立つ! だから男って嫌い!」
「一緒にするなよ」
 巻き添えをくった修造が、げんなりと言う。
「ごめん、だけど腹立つ!」

「ありがとうございます。こちらからも連絡してみます」
 乃蒼の声はどこまでも冷静で、穏やかに陽音を見た。
「陽音、気にしないで。俺がどうにかする。俺の店の問題だから」
 言われた言葉に、胸が痛んだ。一緒にお店をやって来たつもりだったが、彼には自分は庇護対象であり、問題に向かわせてもらえないのだろうか。

 だが、実際に自分にはなにもできない。淳太の前では怖くて震えるばかりだ。
 夜には乃蒼に求められてベッドを共にする。
 が、頭の中には罵倒の口コミが浮かび、彼の愛に集中できない。
「陽音?」
 声をかけられ、彼を見る。
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