メシマズな彼女はイケメンシェフに溺愛される
「上の空だね。口コミ、気にしてる?」
「私のせいだから……」
「違う。あいつの性格が悪いせいだ」
「私が不出来だから」
乃蒼は首を振って否定した。
「陽音はあいつに洗脳されたんだよ。モラハラだ。言葉の暴力も、目の前で料理を捨てられたのも精神的DVだよ」
「……そうなのかな」
「君は被害者だ。あんな男が記憶の一片にすら残るのが許せない。ぜんぶ忘れさせてあげる」
彼はなおいっそうの愛を陽音に伝える。激しい快感に翻弄され、彼女はなにも考えられなくなった。
グルメーズの口コミは悪化の一途をたどり、とうとう星1.6の評価になった。
悪口はバリエーションが尽きたのか『シェフの妻が奥さんづらしてるのが気に入らない』と書かれているものがあった。絢子は半笑いで、乃蒼は開いた口がふさがらないようだった。
常連客は今まで通りに来てくれるものの、新規のお客さんが来ない。
陽音はコーヒーメーカーでコーヒーを作ることすら怖くなっていた。淳太にインスタントコーヒーを出したときに「こんなものまでまずくできるなんて天才だな」と言われたことが蘇り、頭から離れない。
お店のドアが開くたびにびくっとして、淳太ではないことに安堵の息を漏らす。
いつものように店を閉めたあと、乃蒼が陽音を見て切り出した。
「フランスの師匠に会いたくなったから、しばらく店を閉めて一緒にフランスに行こう」
「え?」
「ついでにヨーロッパを一周しよう。俺たち新婚旅行もしてなかったから」
陽音は乃蒼をじっと見つめる。穏やかに見つめ返され、陽音はため息をついた。
「私のせいだから……」
「違う。あいつの性格が悪いせいだ」
「私が不出来だから」
乃蒼は首を振って否定した。
「陽音はあいつに洗脳されたんだよ。モラハラだ。言葉の暴力も、目の前で料理を捨てられたのも精神的DVだよ」
「……そうなのかな」
「君は被害者だ。あんな男が記憶の一片にすら残るのが許せない。ぜんぶ忘れさせてあげる」
彼はなおいっそうの愛を陽音に伝える。激しい快感に翻弄され、彼女はなにも考えられなくなった。
グルメーズの口コミは悪化の一途をたどり、とうとう星1.6の評価になった。
悪口はバリエーションが尽きたのか『シェフの妻が奥さんづらしてるのが気に入らない』と書かれているものがあった。絢子は半笑いで、乃蒼は開いた口がふさがらないようだった。
常連客は今まで通りに来てくれるものの、新規のお客さんが来ない。
陽音はコーヒーメーカーでコーヒーを作ることすら怖くなっていた。淳太にインスタントコーヒーを出したときに「こんなものまでまずくできるなんて天才だな」と言われたことが蘇り、頭から離れない。
お店のドアが開くたびにびくっとして、淳太ではないことに安堵の息を漏らす。
いつものように店を閉めたあと、乃蒼が陽音を見て切り出した。
「フランスの師匠に会いたくなったから、しばらく店を閉めて一緒にフランスに行こう」
「え?」
「ついでにヨーロッパを一周しよう。俺たち新婚旅行もしてなかったから」
陽音は乃蒼をじっと見つめる。穏やかに見つめ返され、陽音はため息をついた。