メシマズな彼女はイケメンシェフに溺愛される
それをまな板の上に載せて丸く型抜きして重ね、とろけるチーズを載せてバーナーで炙る。とろりと垂れておいしそうな焦げができたところでピックをさした。
白い皿に載せたあとは乃蒼の出番だ。バジルソースで円を描き、花のように飾り切りしておいたプチトマトとバジルの葉で飾りつける。手さばきは繊細で、出来上がった皿はプロの料理にしか見えない。以前宣言したように、彼は陽音の料理に魔法をかけてくれたのだ。
完成したそれを運び、彼らに提供する。
「最後の品です」
置いた直後に手が次々と伸びた。
「うまい!」
最初のひとことに、陽音は心の中でガッツポーズをした。
「さすがプロだよな」
笑顔の花があちこちで咲き乱れる。
食べ終わると陽音が皿を片付け、乃蒼が箱を持って現れる。
「最後に投票をしていただきます。まずは箱が空であることをご確認ください」
箱を見せてから蓋を閉じてテーブルに置き、白紙とペンを配ってから、陽音と乃蒼は背を向けた。
「当店の料理がおいしかったら丸、まずかったらバツを書いて無記名で箱にお入れください」
陽音の言葉に、さらさらとペンが動く音が聞こえた。
「全員入れたよ」
女性が教えてくれて、ふたりは振り返った。
「では、開封します」
陽音が彼らの目の前で開封し、一枚ずつ広げていく。
「まる、まる、まる……」
丸印が続き、最後の一枚。
「バツ」
読み上げた瞬間、すべての目が淳太に向いた。