帝の唯一の女〜巫女は更衣となり、愛に囚われる〜
それから私は皇居の近くに居を構え、三日に一度は暁宮様と語らう日々が続いた。

笑い合うこともあれば、静かに庭を眺めるだけの日もあった。けれど——時には、胸を締めつけられるような瞬間もあった。

「……私は、国を背負う気概がないと思う。」

ある日の午後、暁宮様は縁側に座り、視線を落としてそう呟かれた。

普段の凛とした佇まいからは想像できないほど、声はかすかに震えている。

「しかし、東宮には暁宮様以外になる他ありません。」

私は即座にそう言った。

「他にも皇子はいる。」

その言葉は、どこか自分を遠ざける響きを帯びていた。

気づけば、私はそっとその御手を取っていた。

「いいえ。他にはいらしません。」

その指先に、ほんのりと体温が宿るのを感じた。
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