帝の唯一の女〜巫女は更衣となり、愛に囚われる〜
「東宮様は、あまりにも美琴を召しすぎじゃ。」

「でも……」

唇が乾くのを感じながら、それでも伝えた。

「離れられないんです。」

葛城はため息をつき、私の肩を軽く叩いた。

「それは今だけよ。」

「え?」

「じきに、女御様をお迎えになる。」

その言葉に、私は目を大きく見開いた。

「……他の女人を抱くのですか?」

「他の女人ではない。お妃様よ。」

私はぐっと唇を噛みしめた。

胸の奥で、何かがゆっくりと崩れていく音がした。
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