帝の唯一の女〜巫女は更衣となり、愛に囚われる〜
私は慌てて暁宮様の元へ走った。

「東宮様!」

振り返った暁宮様は、すぐに立ち上がった。

「どうした?何かあったか。」

その落ち着いた声が、なぜか胸を締めつけた。

「……お妃様を迎えると聞きました。」

「……そのことか。」

暁宮様は一瞬だけ目を伏せ、そして私から視線をそらすように背を向けた。

「どうして、黙っていたのですか。」

あの日――私を抱いた夜から、きっと分かっていたはずだ。

「……どうして言えよう。そなたはもう用はないと。」

その言葉が、鋭い刃のように胸を裂いた。

思わず、いけないと分かっていながらも、暁宮様の背を叩いていた。

「ひどいっ! こんな仕打ち!」

「では、どうしろと言うのだ!」

振り返った暁宮様の瞳には、怒りと迷い、そして――消しきれぬ情が揺れていた。
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