帝の唯一の女〜巫女は更衣となり、愛に囚われる〜
「……神社へ帰ります。」

自分の口からその言葉が出た瞬間、胸の奥がひりついた。

もう、ここに私の居場所はない。

形だけでも務めを果たした今、残る理由はどこにもない――そう自分に言い聞かせた。

最後に暁宮様と対面する場が設けられた。

「えっ? 神社に帰る⁉」

驚きに目を見開いた暁宮様は、すぐに歩み寄って私を抱き寄せた。

その腕の温もりに、心が一瞬で溶けていく。

「都に残れば、暇を見て会いに行く。……残ってはくれまいか。」

耳元で落ちた低い囁きに、全身が震える。

「なあ、美琴。気持ちは一緒だろう?」

その言葉に、いっそこの胸にすべてを委ねてしまいたい衝動がこみ上げた。

けれど、甘えてしまえば二度と離れられない。

やがて訪れる別れが、もっと残酷なものになると分かっていた。
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