帝の唯一の女〜巫女は更衣となり、愛に囚われる〜
「いつ来るのだろう。」

「春日頃とだけ……」

「では、そろそろかな。」

神主は境内の桜を見上げた。

蕾はふくらみ、ほのかな紅が差し始めていた。

そして、境内の桜が満開を迎えた頃――

神社に一報が届いた。「帝の行幸がある」と。

「……もしかしたら」

胸の奥で鼓動が跳ねた。神主と共に慌ただしくお迎えの支度を整える。

やがて、雅やかな行列が境内へと差し掛かる。

重厚な輿の帳がそっと上げられ、その奥から現れたのは――かつての暁宮様。

いや、今やこの国ただ一人の帝となられた御方だった。

少し面差しは大人び、威厳を纏っておられるのに、その瞳の奥はあの日のままだ。

「美琴……久しぶりだな。」

その一声に、五年の歳月も六年の想いも、一気に胸の奥で花開くように感じた。

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