諦めていた恋の続きを始めます
さすがに真大の病気には驚いた。だが沙織のことを、どこまで信じていいかわからない。
病について詳しい話もせず「帰ってきて」としか言わないからだ。
夫の体調を気遣う妻というより、将来の周防総合病院の院長夫人の肩書が心配なのだろう。
アメリカ帰りの優秀な心臓外科医の夫は、沙織を飾るための装飾品だったようだ。
描いていた人生が崩れようとしているから、悠真を自分の味方にしようと考えているのが透けて見える。
(すべてが自分の思い通りにならないと知るべきだ)
まどかには申し訳なかったが、恋人のように扱うことで沙織をけん制した。
悠真が思惑通りに動かないから不機嫌そうにしていたが、なんとか沙織を追い返せた。
事情が呑み込めないだろうに、黙ってくれていたまどかには感謝しかない。
まどかに謝りたいし、これからどうするべきか考えたいと思っていたら、診療所に急患がやってきた。
患者は以前に悠真も診療船で診察しことがある老女だった。
すぐに穴吹医師も診療所にやって来て、難しい顔をしている。
過去に患った大動脈の病気を疑っているようだ。もしくは虚血性心疾患かもしれない。
限られた診療所の設備では症状を見極めることは出来ないし、必要な処置することも困難だ。
悠真はドクターヘリを考えたが、穴吹は船の方がいいという判断だ。
これまでも急患を船で運んでいたと、まどかも言う。