諦めていた恋の続きを始めます
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翌日、まどかは種村に付き添って診療船に向かった。
血液採取をしてしばらく待っていたら、検査結果が出たようだ。
「種村さん、診察にお入りください」
まどかが付き添って診察室入ると、すぐに医師がやってきた。
(あっ)
背の高さ、白衣越しでもわまる肩幅。高い鼻筋と切れ長の目を持つ怜悧な顔。
こちらを見ないまま、パソコンに向かっているからまどかに気がついていない。
(まさか、周防さん⁉)
去年の春の記憶が頭の中を駆け巡る。それを顔に出さないように必死で奥歯をかみしめた。
「種村さんですね」
こちらを振り向いたとたん、少し目を見開いて周防は聴診器を手にしたまま固まった。
まどかだとわかったのだろう。
ふたりの視線がぶつかっていたのはとても長い時間に感じられたが、ほんの数秒だったようだ。
「おかげんはいかがですか?」
診察を始めた周防は、すっかり医師の顔に戻っている。
周防悠真は、まどかの兄の琉輝とは医学部の同期で親友だ。
循環器の専門医で、今年三十一歳になるはずだ。
まどかの居場所は誰にも秘密にしてと家族には頼んでいたから、周防も驚いたのだろう。
(まさか、こんなところで周防さんと会うなんて)
十代の頃にあこがれた人が、目の前にいる。
もう会うはずのない人と再会してしまったことで、まどかの脈は一気に早くなっていった。
息苦しい。それに自分がどんな顔をしているのか見当もつかない。
ジェットコースターで一気に上昇し、すぐに下降していくときのような感じだ。
まどかは記憶の渦に、一瞬で飲み込まれていった。