諦めていた恋の続きを始めます
さっき夢うつつで聞こえた話声は、おそらく悠真のものだろう。
もしかしたら実家に電話していたのかもしれない。
実の兄が病気だと聞いてすぐにでも連絡したかっただろうに、悠真は急患を優先してくれたのだ。
悠真の行動は医師として当然かもしれないが、まどかは申し訳ない気持ちになった。
悠真の手助けがあって、種村は命をとりとめたようなものだ。
(悠真さんには助けられてばかりだわ)
昨日のことだけではない。
まどかが笑顔を取り戻せるよう気遣ってくれ、気分転換に誘ってくれたこともあった。
島の診療所の将来のために、穴吹医師の後任を探してくれたのも悠真だ。
それに昨夜は、わざわざマンションに泊めてくれた。
このところ悠真に甘えてばかりだ。
なにかお返しがしたいと思うのだが、具体的には何も浮かんでこなかった。
まどかはゆっくりとドアを開けて、寝室から出た。
「おはようございます」
そっと声をかけたら、リビングのソファーにいた悠真は驚いていた。
「早いな。もっとゆっくりすればいいいのに」
「いえ、もう大丈夫です。悠真さんこそ、寝てないんじゃありませんか?」
「慣れているから平気だよ。ちょっとやることがあったし」
そう言いつつ、立ち上がってキッチンへ歩いていく。
「よかったら、コーヒーでも」
すでに湯を沸かして、準備をしてくれていたようだ。