諦めていた恋の続きを始めます
「ありがとうございます。顔を洗ってきます」
洗面所を使わせてもらってリビングに戻ると、湯気の立つマグカップがリビングのテーブルに置かれていた。
「座って」
ゆったりしたソファーはひとつだけ。つまり、昨夜と同じように横に座れてということだ。
まどかはソファーの端に、そっと腰を下ろした。
どうも悠真からの視線が気になる。
昨夜は平気だったのに、明るくなっているから素顔でいるのが恥ずかしくてたまらない。
「あの、昨日はありがとうございました」
悠真にお礼を言うと、まどかが赤面しているせいか苦笑いをされてしまった。
「島の患者さんが助かってよかった」
「昨日だけじゃなくて、悠真さんにはずっと助けていただいてばかりで……」
自分の気持ちをうまく表現できなくて、まどかは口ごもってしまった。
それでも悠真は、黙ったまま次の言葉を待ってくれた。
「私では力不足かもしれませんが、出来ることがあったら何でも言ってください」
まどかに出来ることなどたかが知れているかもしれないが、少しでも悠真のためになりたかった。
自分の気持ちがわかってもらえたかなと悠真の顔を見たら、考え込むような表情だ。
「何でもって言われても、難しいな」
真剣に悩んでいる様子を見せたが、急には思いつかないようだ。
「ところで」と、悠真はまったく違う話をまどかに振ってきた。
「さっき、父と話した」
かすかに聞こえた気がしたのは、やはり悠真の声だった。