諦めていた恋の続きを始めます
「まどか」
悠真の顔が近づいてくる。
「助けてほしい」
これまで聞いたことがないような、暗いトーンだった。
それに悠真はプライドの高い人だ。他人に助けを求めたなんて、琉輝からも職場でも聞いたことがない。
「俺と両親の関係は、よくない」
学生時代から「ここは居心地がいい」と大石家によく遊びに来ていたのだから、家族の不仲は察していた。
悠真はそのことを、自分から口にしたことはなかったはずだ。
「悠真さん」
まどかはつらそうな悠真を見ていられない。
「初めて父から頼まれた」
それは父親が悠真の存在を認めたということだ。
これまで実家との関わりを避けていた人が、兄の病気を知って覚悟を決めたのだろう。
それならまどかは応援するだけだ。
「お父様はきっと悠真さんを待っていらっしゃいますよ」
悠真は優秀な医師だ。東京の病院で働いてた時も、誰もが実力のある医師だと認めていた。
今こそ堂々と周防家に帰ればいいとまどかは思う。
「でも私が周防家に行っても、お力になれないと思いますが」
ごく普通の看護師でしかないまどかでは、悠真の助けにはなれない。
「あの両親のことだ。帰ってきてくれと言いながら、腹の中で何を考えているかわからない」
唐突に、悠真の口調がクールなものになった。
「そもそも俺が帰ったら、政略結婚をさせる気満々だ」
「え?」
親子の関係が修復されてよかったと思ったが、どうやら違っていたらしい。
まさかの政略結婚の話までが飛び出してきた。