諦めていた恋の続きを始めます
「何でも集めるのが母の趣味なんだ」
絵画、モダンなオブジェ。確かに一貫性はない。花瓶の花は、よく見ると作り物のようだ。
コレクションは多彩だが、家族が集まるスペースの生活感のようなものはまったく感じられない。
家政婦の掃除の腕がいいのかもしれないが、マンションのモデルルームのようなきれいさだ。
新聞や雑誌すら置かれていないのが不思議だった。
そんなことを考えていたら、軽いノックの音と甘い声がする。
「お待たせして、ごめんなさい」
リビングルームに姿を見せたのが、母親の栄子のようだ。
目元が悠真に少し似ている気がする。ややふっくらしているが、美しい人だ。
年齢を感じさせない若々しいメイクと髪形だし、新年を意識しているのか華やかな装いだ。
続いて入ってきたのが父親の真治だろう。
「よく来てくれたね」
穏やかに迎えてくれたが、銀縁の眼鏡の奥で目が笑っていないのが気にかかる。
「新年おめでとうございます。お招きありがとうございます。大石まどかと申します」
まどかは立ち上がって丁寧に頭を下げてから、栄子に手土産を渡した。
「あら、うれしい。ここのお菓子、並ばないと手に入らないって聞いていたの」
「お口にあうとうれしいです」
栄子はとても喜んでくれたので、まどかは少しホッとする。