諦めていた恋の続きを始めます


「大石先生の妹さんなんですってね。彼にはお世話になっているの」

琉輝が週に何度か周防病院の外来を受け持っているからか、まどかにも親し気に話してかけてくれる。

「もうパパになられたんでしょ」
「はい。先日男の子が生まれました」

「いいわねえ。真大のところに子どもがいたら……」
 
悪気はないのだろうが、孫を待ち望んでいる気持ちがにじみ出ている。
思いがけない病のせいで、兄夫婦はそれどころではないはずだ。

「母さん、今日はまどかを紹介しに来たんだ」

悠真が不機嫌そうなのは、沙織に子どもが欲しいと言われたことを思い出したのかもしれない。

「ああ、そうね。そうだったわ。まどかさんとは、いつ出会ったの?」

悠真が話そうとしたら、真治はまったく違う話を始めてしまった。

「真大の手術の結果だが」

真大は闘病中だと知られないために、周防総合病院を避けて都内のガン専門の病院に入院している。

「無事終わりましたか」

「ああ」

「先に手術することを選択したんですね」

「真大が決めたんだ」

真治はほかの治療を考えていたが、真大は治療予後がいいから日本でもトップクラスの医師の手術を選んだようだ。

それからは医者同士の専門的な話になった。
まどかには理解できる内容だったが、栄子は不機嫌そうに黙り込んでしまった。
略語や専門用語ばかりだから、よくわからないのかもしれない。
逆に、こんな詳しい病状をまどかが聞いてもいいのだろうかと心配になってきた。

どうしようかと悠真の方を見たが、とても真剣な表情だ。
正確に病状を把握しようとする医師の顔に変わっていた。









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