諦めていた恋の続きを始めます


「こちらに住むなんて、ご迷惑でしょうし」
「大丈夫よ。家のことは家政婦がしてくれるから、あなたは看病してくれればいいの」

まどかは断り続けたが、悠真は考えを変えたらしい。

「わかった。早い方がいいだろう」

一転して、了承してしまった。

「悠真さん?」

反対してくれると思っていたから、戸惑いが隠せない。
まどかの困惑した視線を受けても、悠真はむしろ平然としている。
悠真が認めた以上、まどかが看病のために周防家に住むという流れは止められそうにない。

退院はいつにするか。まどかはその前日までに周防家に来るとして、どの部屋に住むか。
おまけに悠真からは看護師として個人契約するか、周防総合病院所属にして既定の賃金を払うかという話まで出てきた。

「まどかに押しつける以上、看護師としてきちんと待遇して欲しい」
「あら、そういうものなの?」

黙って聞いていた真治は「まかせる」とだけ言ってリビングから出て行った。
賛成なのか反対なのかすら、その表情から判断できそうにない。
悠真が東京に帰って来たから、他のことはどうでもいいのだろう。

「短い期間ですし、契約などなくても大丈夫です」

「そうよね。少し早い花嫁修業だと思って家にいらして」

あれこれ相談していたら、お茶の時間だけと思っていたのに夕暮れが近くなっていた。
栄子から夕食もと誘われたが、ふたりだけで予定があるからと悠真が断ってくれたのでホッとする。

「仲がいいのねえ」

予定など何もないのだが、栄子は偽装婚約とは思っていないからひやかしてくる。

「じゃあ、またね。まどかさん」

待ち遠しいのか、うきうきとした表情だ。

「は、はい」

まどかは何とか笑顔を作った。



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