諦めていた恋の続きを始めます
「沙織の態度はいつものことだから、気にしないでくれ」
悠真の声は少し怒りを含んでいた。
「は、はい」
島で会った時から、沙織がまどかに向けてくる視線は厳しいものだった。
そのうえ正式に婚約したと悠真が告げたのだからは、刺々しさは増している。
沙織の気持ちは、夫より悠真にあるとしか思えない。この家に住む以上、また沙織と顔を合わせることもあるだろう。
まどかはそれだけが憂鬱だった。
玄関を出たところで、悠真が家の方を振り向いた。
「俺の婚約者なんだから、堂々とこの屋敷で過ごせばいい」
「私なら通いでもよかったんですが」
「それは大変だろう」
確かにここまで毎日通うのは大変だし、同居すれば夜間の見守りもできるというメリットもある。
「本当に、ここに来てもいいのですか」
「ああ。君なら安心して任せられる」
ああ、まただ。
また、まどかの欲しい言葉を口にしている。