諦めていた恋の続きを始めます



思ったとおり、殺風景な部屋だった。

そういえば、悠真のマンションに泊まらせてもらったときも同じような感想だった。
必要なものしか置いていない、寝るためだけの場所だ。

部屋の隅にある段ボールは、どれも中途半端な片付け方で放置されているから、手の付けようがない。
おそらく以前暮らしていたマンションの荷物や、四国に行っていた時期のものだろう。

「困ったわ」

出来るだけきれいにしておきたいが、荷ほどきをしていないから触れない。

どこまで片づけていいのか確認しなくてはと思いながら、今度はいつ悠真と会えるのか見当もつかなかった。

同じ屋敷に住んでいても、ここまですれ違うとは思ってもいなかった。
もしかしたら悠真がわざと、まどかと会わないようにしているのだろうか。
会えない寂しさのせいで、あれこれ考えても答えは悪い方にばかり偏ってしまう。

結局、机の周りを整理やシーツを取り換えて洗濯するのがせいぜいだった。

(せめて、早春らしいものを)

そう思って、机の上にスイトピーを数本活けた。
温室育ちの花だから、甘くて爽やかな香りがする。

疲れて部屋に帰った時、ホッとしてもらえたら。
島のあちこちにも植えられていた花だから、ふたりで歩いた坂道を思い出してくれるかもしれない。

そんな淡い気持ちを花に託した。





< 143 / 173 >

この作品をシェア

pagetop