諦めていた恋の続きを始めます


翌朝、まどかが真大の体温を計っていたら悠真がやってきた。

「お水を持ってきます」

そう断って、まどかは部屋の外に出ていく。

廊下で待っていたら、静かにドアを開けて悠真が部屋から出てきた。
いつになく暗い表情をしてまどかのそばに来ると、こっちへというようにキッチンの方を指さす。

まだ家政婦は来ていないし、栄子や沙織は滅多にキッチンへは来ない。
昨夜と同じように、ふたりはテーブルに向かい合って座った。

「確かに、以前のような気力が感じられない」

悠真の声は沈んでいた。

「そうですか」

「バーンアウトかもしれないが……まだわからない」

燃え尽き症候群ともいわれる症状だ。
真面目に努力してきた人だからこそ、心身のエネルギーを使い果たして、突然やる気や感情を失ってしまう。

順調に歩んできた真大は、手術がきっかけというより、病気になった地点で心が折れてしまっていたのかもしれない。

「今のところ、しばらくのんびりしてもらうのが一番いいと思う。様子を見て、このまま続くようなら専門医に相談しよう」

悠真も辛そうな表情だが、医師として冷静に判断している。

「まどかが気がついてくれてよかった」

「いえ」

ひとつの屋敷に住んでいても、家族はバラバラに過ごしている。だから真大の変化に、誰も気がついていなかった。

「悠真さんのせいじゃありません」

きっと自分を責めているはずだから、思わず言ってしまった。

「そうかな」

悠真はおそらく、父に頼まれたとはいえ自分が家に帰って来たことがよくなかったのではと考えているはずだ。

「誰にも防ぎようのないことです」

「ありがとう」

苦しそうに微笑んで、悠真はキッチンを出て行った。

まどかは看護師として、できるだけ真大に寄り添うことにした。



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