諦めていた恋の続きを始めます
もう一度、好きになってもいいですか
周防家の広い屋敷は、パーティーを開くために建てられようなものだ。
家族だけでは広すぎると思っていた空間も、この日ばかりは狭く感じる。
慰労会は、応接室と客用ダイニングを解放して開かれた。
招待客は勤務の関係もあるから順番を決めて、公平にならないよう真治の秘書が選別しているらしい。
会場準備は家政婦とまどかが担当したし、遅めの昼食になるから食事は有名レストランのケータリングサービスを頼んだ。
言いだした栄子は、口を出す以外は何もしていない。
こんな会は初めてだから、まどかは落ち着かなかった。
自分に与えられた部屋で、朝から何度も鏡に向かって前や後ろから見直す。
肩より少し長くなった髪は美容院できちんとブローしてもらったから跳ねていないし、メイクもいつもより濃くしている。
それでも普段のカジュアルな服装とは違うから、余計に自信が持てない。
(落ち着かなくちゃ)
そわそわしたり、ため息をついたりしていたらノックの音が聞こえた。
「準備はいいか?」
「は、はい」
ダークスーツ姿の悠真が入って来た。
内輪の会だからお互いにあまり気負わないスタイルにしようと話してはいたが、きちんと髪を整えている悠真はいつも以上に魅力的だ。
「似合ってるよ」
まどかが着ているのは、ストンとしたシルエットのスモーキーピンクのワンピースだ。
こんな色味は着慣れていないが、瀬戸内の春のように思えて選んだものだ。
「ありがとうございます」
悠真に着飾った姿を見られるのは初めてだ。恥ずかしかったが、ほめられたことで華やいだ気分になってきた。