諦めていた恋の続きを始めます
ケータリングサービスのおかげで、キッチンやテーブルの上はきれいに片付いていた。
だが部屋の中をいつもの状態に戻すのは、まどかと家政婦の担当だ。
「俺も手伝うよ」
悠真が上着を脱いでシャツの袖をまくり上げているが、さすがに申し訳ない。
「大丈夫ですよ」
家政婦も遠慮している。あまり汚れてはいないし、床や窓の掃除などは明日でも出来る。
そこに飛び込んできたのが琉輝だった。
「悪い、遅くなった」
「兄さん!」
患者が落ち着いたから、顔を出せたと言う。
「妹の晴れ姿を見ないとな。なかなかいいじゃないか」
笑いながらから、かうようにまどかの肩をポンと叩いてくる。
まどかがその手を払おうとしたら、琉輝が笑うのを止めた。
じっとまどかの左手を見ている。
「悠真、悪いが妹を借りていく。久しぶりだから兄妹で話したい」
「え?」
そう言うと、まどかの腕をつかんで部屋から出ようとする。
「待って、兄さん。まだ掃除が残っているの」
まどかが言っても無視された。
「ゆっくりしてくるといい。ここは大丈夫だ」
琉輝のわがままに慣れているのか、悠真は笑っている。
家のことを放って出かけるのだから、琉輝の申し出を許可してくれた悠真には感謝しかない。
「すみません。明日やりますので、そのままにしておいてください」
まどかはそう言うしかなかった。