諦めていた恋の続きを始めます
種村の検査はスムーズに終わった。
船の看護師から、診断結果は後から診療所に届くことを確認する。もう診察はないから、帰っていいようだ。
船内を種村と移動していたら、健康診断を受ける島民たちの姿もあった。
「まどかちゃん、こんにちは」
「こんにちは」
「いつも真面目だねえ」
島の人たちは、まどかが硬い表情をしているのを仕事熱心だからだと思ってくれている。
実際は、かつて味わった強いストレスのせいだ。
東京を離れる少し前から、まどかはストレスのせいで表情が動きにくくなっていた。
笑おうと思えば思うほど頬が引きつってしまい、笑顔を作れなくなっていたほどだ。
この島に来てからは少し落ち着いてきて、やっと微笑んでいるかなと思われる程度には回復したところだ。
この一年。
四季のうつろい感じたり人の優しさに触れたりして、穏やかに過ごしてきた。
婚約者に裏切られた時の辛さや苦しさは、遠い日の出来事だと思えるようにもなっていた。
それなのに周防に会っただけで、どうしてここまで気持ちが乱れるのだろう。
(どうかしている)
一度だけ抱かれた事実が、まどかを苦しめていた。