諦めていた恋の続きを始めます
翌日からは、いつも以上に働いた。そうしていれば余計なことを考えずにいられるからだ。
周防が四国の病院で働いているにしても、次に診療船がやってくるのはかなり先だ。
もう会うことはないだろう。
(忘れなくちゃ)
そう思っていても、抱かれた記憶はふいに頭に浮かんでくる。
(どうして消えてくれないの)
まどかは婚約者に裏切られた心の傷を癒すために、東京から離れた。
島で働くことを決めたのも、自分を知らない人たちの中で穏やかに暮らしたかっただけだ。
閉院までの約束で勤め始めた島の診療所。やっと見つけた居場所だ。
落ち着こうと思っても、つい周防と過ごした夜を考えてしまう自分が情けなかった。
心に刻まれた一夜は、もしかしたら裏切られた記憶よりもはるかに深いのかもしれない。